2010年1月21日木曜日
ハマーン・カーン
TVシリーズでは、かなりのツンツンキャラとして名高いハマーン・カーンですが本当は明るく素直な少女でした。「機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像」では14歳のハマーン・カーンが描かれていますが、当時の彼女はこんな容姿をしていたようです。
そうです。このいかにも「私、良家のお嬢様よ。」と言わんばかりの少女がハマーン・カーンなのです。どうして、彼女がこんなにも変わってしまったのか。
ハマーンの心のひずみは、彼女の父が彼女の姉を側室に献上することからはじまります。彼女の父マハラジャ・カーンはジオン軍の提督でした。彼は、当時のジオン公国を握っていたザビ家と相反するダイクン派の人間です。そのため、自身の立場保全のためにザビ家のひとりドズル・ザビに自分の長女を侍女として仕えさせたのです。その行為は長女の賛同を得ず、なかば無理やりな方法であったために次女であるハマーンは父に対する大きな不満を抱きはじめる。そんな折、シャア・アズナブルというニュータイプの噂を耳にします。彼の英雄胆は彼女もよく知っており、ハマーンはシャアに好意を抱きます。そして、シャアに追いつきたいという一心からフラナガン機関というニュータイプ研究所で必死に努力します。しかし、彼女が恋焦がれてまねをしていたのはシャアの暗い部分であり彼女の性格は徐々に明るさを失っていく。アクシズ内部で穏健派と武闘派が激しく対立するようになり、シャアが穏健派である父マハラジャと結託したという事実が発覚します。ハマーンは自分の嫌う父とシャアが結託することに動揺します。そして落ち込むハマーンに追い討ちをかけるように、ハマーンの世話役であるナタリーとシャアが一夜をともにしたという噂が流れます。信頼するナタリーにも裏切られハマーンは男性不信に陥ってしまう。しかし、ナタリーにシャアと結ばせたのは武闘派の陰謀でした。ナタリーは結局武闘派の人間に殺されてしまうのですが・・・。その後、心に傷を負ったハマーンは純粋さを政略に利用され、シャアとは逆の立場である武闘派についてしまいます。政略争いの最中、マハラジャ・カーンは病で息を引き取ります(一説には武闘派に利用されたハマーンが殺したとも言われる)。その一方でシャアは自分とは逆の立場の人間が政権をとったためそりが合わず、地球権の偵察を理由にアクシズを離れます。
恋仲のシャアと信頼していたナタリーに裏切られ、時の政権に利用されて生きてきたハマーンの精神は徐々に蝕まれていったのだと思います。それがTV版での彼女の姿なのです。彼女に残されたのは、努力して培ったニュータイプとしての力と、ハマーンの純粋な心を利用した武闘派の人間たちだけでした。そんな状況に置かれても、持ち前の正義感でアクシズを引っ張るハマーン・カーンは健気であり、不憫であると私は思います。そして、自分を必死で押し殺して戦い続ける姿に可憐さを垣間見るのだと思います。
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