先日、サピエンス全史を読んだのですが、非常におもしろい本だったので、自分の考えを投稿しようと考えました。
「人類は特別な種ではない」
現世人類ホモサピエンスは、食物連鎖の最上段にいる特別な種だという考え方が、一般的に語られているが、現世人類はヒト科であり、生物学的にはチンパンジーやゴリラははもっとも近い縁者であり、3万年前まで地球上に存在したネアンデルタール人や人類で最長の200万年も種を存続させたホモエレクトスと同じ属の生物である。ホモサピエンスはこの後1000年も生きるかわからない。
「認知革命」
ホモサピエンスは生物学上は他の動物と変わることのない、とるに足らない存在であるのだが、認知革命が他の種とは違う存在にさせた。それは、集団で共通の妄想を信じることができたこと。複雑な言語で大量の情報を伝える能力と、部族の聖霊など現実には存在しないものを伝え信じることで、圧倒的大多数の人達を共通の目的に向けてコントロールできたことだ。チンパンジーはヒトよりも強い握力があり、直接戦った場合チンパンジーの方が強い。しかし、チンパンジーは50頭までしかアルファオスの顔が利かないため、徒党が組めない。それ以上になると仲間割れが起こり、違う群れが出来たりする。また、チンパンジーは違う群れ通しで食べ物やメスの取り合い等で殺しあうこともある。それに対してホモサピエンスは1000人でも2000人でも、混乱することなく徒党を組める。認知革命が人類を革新させた。
「農業革命の誤算」
一万年ほど前にすべてが一変した。サピエンスが、毎日小麦の世話に没頭し始めた。より多くの作物や穀物、肉が手入るだろうと考えてのことだ。しかし、実際はそうはうまくいかなかった。サピエンスの体は石を取り除いたり、水桶で水を運んだり、雑草を抜いたりすることに向いておらず、古代の骨格を調べると椎間板ヘルニアや関節炎といった実に多くの疾患がもたらされたことがわかる。サピエンスの体はりんごの木に登ったり、ガゼルを追いかけたりするように適応していた。また、小麦は経済的安心を与えてくれることはなかった。雨が十分に降らなかったり、イナゴの大群が来襲したりしたら、必要なカロリーを摂取できずに何千から何百万という単位で命を落とした。彼らはそれでも一生懸命働いた。一生懸命働けば前よりいい暮らしができると信じていた。しかし、彼らは子供の数が増えることを予想できなかったし、自分達の畑を荒らされないように見張りをたてなくてはいけないことも予想できなかった。
もうひとつ農耕を推し進めた理由もある。ギョベクリ・テペの構造物は紀元前9500年頃まで遡るが、そのわずか30キロのところに栽培化された小麦の起源をたどることができる。神殿が建設されてから、村落がその回りに形成され、農耕をして生活する必要があった。
「神話による社会の拡大」
一世紀になると、狩猟採集民は100万から200万しか残っておらず、それを遥かに上回る2億5000万もの農耕民が世界各地で暮らしていた。紀元前1776年のバビロンは世界最大の都市だった。バビロンの王ハンムラビの名を冠したハンムラビ法典はバビロニア帝国全土における画一的な法制度の基盤を担い、公正な王とはどう振る舞うのかを教えることを目的とした。現在においては、民主主義とロマン主義と消費主義がそれに変わる。そのような共同主観主義というべくものが、人類の増加と繁栄に貢献した。また、共同主観的な思考から脱するには、それよりさらに大きな共同主観的思考が必要とされ、逃れることは困難である。
「最強の征服者、貨幣」
狩猟採集民は物々交換を行っていたが、それも限界があった。そこで貨幣が産み出されたのだが、しかし、貨幣の最初の形態が産み出されたとき、人々はこの種の信頼を持っていなかったので本質的な本当の価値を持っているものを貨幣とせざるをなかった。歴史上知られている貨幣としてはシュメール人の大麦貨幣だ。これはただの大麦に過ぎないので、日用品ではなく貨幣として使うように人を説得するのは楽ではない。人は大麦を食べることができるが、保存も運搬も難しいからだ。そのうち、持ち運びに便利ということで、銀の貨幣ができ、現在のような紙幣も出来上がった。