前回に引き続き、LIFE SHIFT の内容紹介および感想を投稿していきたいと思います。
長寿化時代には人生の設計と時間の使い方を今までのやり方から根本的に見直す必要があります。そうすることではじめて、長寿を厄災ではなく、恩恵にできると考えます。私たちが選択できるステージがすでに変わりはじめている部分もありますが、指摘したいのは、私たちのこれまで培ってきた、自己意識が科学の発展や社会構造の変化によって根本から揺さぶられるということです。
過去に遡って考えてみると、人類の歴史の多くの時期、私たちは生き延びるための戦いを強いられてきました。寿命は短く、食料は足りず、人から感染する病気と人から人への暴力の脅威につねにさらされていたからです。しかし、近年になり寿命は大幅に延び、暮らしが格段に豊かになると、多くの人が我が子に安全と教育を与えることができ、働くことによって金銭面の安定を手にできる時代が訪れました。そして、今後、人生がさらに長くなったとき、私たちはこれまでの3ステージの人生の一斉行進モデルから脱却し、もっと多くの選択肢に向き合わなくてはならなくなるでしょう。先にも説明した通り、100年以上にわたりアイデンティティを維持し、人生のさまざまなステージに一貫性をもたせることは、簡単ではありません。そのために自らを見つめることは多くの人の能力を越えていると、一部の論者は主張します。しかし、研究によりセルフ・コントロールは先天的な要素をはらみつつも、後天的に身に付けられることがわかっています。未来に危機感を持ち事前に準備する能力は、学習できるのです。
長い人生では学習と教育がいっそう重要になり、それに多くの時間を、費やす人が増えます。いつも時代の流れに遅れをとりがちな、教育現場でさえ学習方法のイノベーションも進むでしょう。これまで引退者として見なされた年齢の人でさえも、教育への真剣な投資がなされるようになります。教育環境はどちらかと言えば保守的な産業です。先人の思考が産み出した成果を現在の世代に伝えることが教育の基本なのでどうしても遅れがちになります。教育という古い産業はテクノロジーの進歩により、遅れをとりすぎた分、破壊的イノベーションの期が熟していると言われています。既存の教育機関は、今までの3ステージの人生における第一段階のニーズに応えるには最適でしたが、今後はマルチステージの人生のニーズに応え、成長著しいMOOCsとの競争に負けないために、絶えず対応に追われることになりそうです。
人々の勤労人生が形作られる環境は、働き手の欲求や願望だけでなく、企業の制度や手続き、文化や価値観にも左右されます。100年以上生きる人たちのニーズに応えるために、企業には今までとは違うものが求められることになりそうです。それでは、いったい何が求められるのか?6つの提案をしたいと思います。
第一は有形と無形の資産に関して企業が発するメッセージのバランスを取ることです。人生100年時代になると新たに資格を習得したりなどしないと時代の流れに乗り遅れてしまう可能性があります。
第二に従業員が移行するときに必要な支援を提供することです。働きながら資格を取れるようにしたりなど、仕事の負荷を考えながら任せる必要があります。
第三は3ステージの人生を前提にしたものからマルチステージの人生を前提にしたものに改めること。給料の賃金カーブも資格に応じて上げたり、資格の無い人との差別化をはかる必要が出てくるでしょう。
第四は仕事と家庭の関係の変化を理解すること。女性の社会進出が増えるなかで、男性が休業する機会が今までよりも増える可能性が高いため柔軟に対応すること。
第五に年齢に対する考え方を改めて、年齢を基準にすることをやめること。役職なども年齢が高い人だけがなるのではなく、若くてもこれまでの海外でのビジネスの経験や資格の有無などで昇進させること。
第六に人材採用時にどのような経歴の持ち主を評価するかに関して、実験を容認・評価すること。実験するために、働いていない期間があるからと門前払いすることなく、その期間にどんな経験をして、これからの時代の変化に有用な人物かどうかを評価すること。
以上の事を変えていくことが必要になるでしょうが、これには人事の一大改革が必要です。
政府と企業の時代遅れのルールへの苛立ちを強めた人々は、個人単位と集団単位で新しい働き方と生き方を実験したいと思いはじめるでしょう。それは、間違いなく好ましい材料です。そうして行った実験のプロセスを通じて、多くの人が自分にとって真に大切なものを探索するようになり、一人一人の個性と多様性が奨励され、称賛されるようになります。こうして、将来人々は多様な働き方と生き方を、選べるようになり、それが100年ライフの果実を生むのです。
以上が内容紹介になります。自分もアフィリエイトなどの仕組みが整ってきた現実を知るにつれて、ひとつの会社に勤め続けることのリスクを考えるようになりました。皆さんはどう考えますか?長寿の時代は、悲観的なことばかりではなく、自己実現をできる可能性も秘めていることに着目して、これからの変革のときを過ごしていくと、幸せな人生がおくれるかもしれませんね。