2019年8月11日日曜日

『LIFE SHIFT』 を読んで 中編


今回も前回に引き続き、本の内容を、紹介していきたいと思います。

 いままでの人の人生では、学生、社会人、引退の3ステージで考えられていたものが、人生100年時代になると新たに3ステージが台頭してくると予想されます。

 まずひとつはエクスプローラー(探検者)の期間です。それは、周囲の世界を探査し、そこに何があり、その世界がどのように動いているか、そして自分が何を好み、何が得意かを発見していく期間になります。観光客が旅先の町を見物するような態度では大きな成果は得られません。望ましいのは深く関わりを持つことです。その土地で長く暮らし、文化に触れ、地元のフェスティバルなどの地域行事に参加し、さらに就労する必要があると思われます。エクスプローラーとして生きるのに年齢は関係ないが、30歳までか、40歳半ばか、70歳ごろが適した時期だと思われます。人生の岐路に立つであろう年齢だからです。この経験は、現状を再確認し自分の持っている選択肢について理解を深め、自らの信念と価値観について深く考える時間にできます。自分をよく知り、世の中をよく知るための将来への投資のような期間と言えるでしょう。これまでの世の中のように、学校教育を終えてそのまま企業の世界に入った人は、早い段階で専門分野を決めたことにより、袋小路に追いやられる危険がついて回ります。それにより大学に入ったり専門学校に入る人がこれまで以上に増えていくと見込まれています。また、これまでの勤労期間40年なら、ひとつの企業でひとつのスキルを極めればよかった事が、これからは通用しなくなる可能性が高いといえます。もうすでに、一つの会社では通用しないようなことも出てきているではないでしょうか?または、企業がこれまで主力としていた事業の撤退を余儀なくし、新たな市場をもとめて新事業を立ち上げることも珍しくなくなって来ていることでしょう。その事業の移り変わりのペースがこれからの世の中はさらに早くなっていくことでしょう。

 次に考えられるステージはインディペンデント・プロデューサー(独立生産者)です。このステージは旧来の起業家とは性格の異なる新しいタイプの起業家になったり、企業と新しいタイプのパートナー関係を結んだりして経済活動に携わる格好となります。オフィスなどが存在しなくても、在宅でできる可能性もあります。旧来のオーソドックスな企業勤めの道筋からはずれて、まったく新しい形の自分のビジネスを始めた人たちがこのステージを生きると思われます。一言で言えば、今ある既存の職を就職先として探す人ではなく、自分の職を新たに市場に産み出す人です。このステージは金銭的資産を蓄えることより、なんの組織にも属さずに独立した立場で独自の生産的な活動に携わるために、まとまった時間を費やすことが大きな意味を持ちます。手掛けた仕事をまとめたウェブサイト、ツイッターの投稿、YouTubeのチャンネルなどはすべて、アイデアと能力を世の中に宣伝する手段になりえます。現在でも、事務所に所属しないユーチューバーなどはこれらに属するでしょう。これからは、さらにそういった人々が増えていくであろうし、さらに新しいやり方も生み出されていくでしょう。

 最後に考えられるのは、ポートフォリオ・ワーカーです。人生には、一種類の活動に専念する時期があります。高給を受け取れるエリート企業や個人経営の職に就いたり、インディペンデントプロデューサーのように自分のビジネスを立ち上げたり、エクスプローラーとして様々な可能性を探索したり、フルタイムの学生に戻ったりする時期がそれに当たります。そのように、異なる種類の活動を同時に行うのがポートフォリオ・ワーカーです。このステージは生産活動に携わる期間のいつでも実践できます。現在でも、就労しながら資格の勉強をすることは広義の意味ではこれと同じであると思われます。様々な可能性を探索し実験するために、このような生き方を選択する人もいれば、やりがいのある仕事に就くことが難しいために、不本意ながらそれを選ぶ人もいるでしょう。テクノロジーとは無縁な工場で働きながら、歴史小説や最新の科学技術が紹介してあるようなビジネス書を読みつづける僕のような人は不本意ながらそれを選ぶ人間になるでしょう。というか、頃ブログを書いているということは、まさにそういうことであるといえるかもしれません。この時期は人的ネットワークを広げ、様々な分野の人々と関わり、業種をうつっても活用できて評価されやすいスキルと評判を身に付けなけなくてはならないと思われます。
 現在より、未来はより個人の評判の良しあしによって仕事が舞い込んだり、なくなったりしていくと思います。現在でも、ニコニコ動画の再生数でメンタリストのDAIGOさんは企業の再生数を抜いてしまっていますし、ホリエモンさんなんかはその先駆者でライブドアを追い出されてから、ネット界の重鎮になっていまでは不動の人望を獲得しています。そのうちマスメディアを追い越すこともあり得るかもしれません。

 20世紀に「ティーンエイジャー」と「引退者」のステージがそうだったように、やがてこれらの新しいステージや移行期間は、特殊なものではなく、ごく普通の生き方になってくるでしょう。それどころかもっと実験が行われ、人生の筋道がもっと多く見いだされて、これ以外にもっと多くのステージが出現しても不思議ではありません。これらは、過去から類推される未来のステージを書いてあるだけに過ぎないのです。

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